絶対に反社チェックが必要な5つの理由とチェック方法

反社チェック

近年、世間は反社会的勢力(反社勢力)との関係に敏感になっており、反社勢力との関わりは企業に致命的な損失を与えかねないリスクとなっています。そこで、反社勢力の排除に取り組む企業の法務・コンプライアンス担当者向けに、反社チェックの概要と代表的な調査方法、反社調査サービスの活用術について解説します。

1. そもそも「反社」とは

企業にとって、反社チェックはコンプライアンスリスクを軽減する上で重要ですが、ひと口に「反社」と言っても、その定義はあいまいな部分があります。実務では、一般的に知られている認識を掘り下げて、根本的な考え方を知っておくことが大切です。まずは反社の定義と、反社となり得る組織・集団について解説します。

1-1. 「反社」という言葉の意味

「反社」とは、「反社会的勢力」の略語で、反社会的な意志を持って行動を行い、勢力を構成する人物・団体を総称する言葉です。これらの反社会的勢力は、一般的に個人や団体に不当な要求や不正な取引をして経済的利益を追求する際に、暴力的行為、威力、または詐欺といった公序良俗に反する手法を駆使することから反社会的な存在として認識されています。

世間一般的には、「反社」と聞いて暴力団組織や暴力団員を思い浮かべる方が多いものの、現実はそう単純ではありません。
例えば、暴力団の親族や付き合いのある友人、暴力団に数回協力した過去を持つ人物、あるいは脱退してから2~3年しか経っていない人物などは、暴力団員として一括りにされるべきではないとの議論があります。しかし、公序良俗に反する手法を駆使して利益を上げる法人・個人が「反社」と認識されることを踏まえると、反社勢力との関わりを後ろ盾に、その法人・個人が反社的な活動を行う可能性があることが問題です。「反社勢力」の属性は多岐に渡るため、「反社」という言葉だけでは明確に実情を反映できませんが、反社勢力と関わりがある法人・個人が反社的な活動を行うことで自社に不利益をもたらすリスクを考える必要があります。

1-2. 反社となり得る組織・集団

反社となり得る組織・集団の代表は、暴力団や暴力団関係者です。しかし、その他にも反社勢力であるとみなされる可能性がある組織や個人も数多くあります。

2007年に政府閣僚会議は犯罪対策に関連する指針を公開し、その中の一節で「総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等」といった反社会的勢力の要件を示しています。
また、このような表向きの属性だけでなく、「暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求」など行為の特性も注目されています。つまり、暴力団と直接的に関係がある勢力だけでなく、不当な方法を行使して利益を追求しようとするという特性があれば、反社会的勢力となり得ると解釈できます。そのため、取引先企業や個人を調査する際は、単純に反社会的勢力の要件を満たしているかどうかだけでなく、その内情まで踏み込んで調査する必要があります。

2. 企業において絶対に反社チェックが必要な5つの理由

反社チェック政府や世間が反社問題に敏感になりつつある昨今、反社勢力の排除に取り組む企業の法務・コンプライアンス担当者は、企業が反社チェックを行うべき理由について熟知しておく必要があります。そこで、ここでは反社チェックが大切な理由を5つ紹介します。

2-1. 政府指針

政府は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公開し、企業が反社組織との関わりを回避し、万が一トラブルが発生した場合でも適切な対応が取れるように対策を促しています。2007年6月に「犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ」で取り上げられ、その後、反社勢力排除のいわばベンチマーク(基準)として機能しています。この指針は、法務省ホームページに全文が公開されており、以下の項目から構成されています。

・反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
・基本原則に基づく対応
・内部統制システムと反社会的勢力による被害防止との関係

この政府指針を読み解くと、反社会的組織への対策に関して、3つの要点が浮かび上がります。
1つ目は、暴力団排除への要請です。暴力団の排除は治安の向上や秩序ある社会環境を維持する上で重要な取り組みですが、特に反社勢力との取引を行わない取り組みは、暴力団の資金源を断つことにもつながり、ひいては暴力団撲滅に貢献します。2つ目に、企業が暴力団との取引を決して許さない姿勢は自社防衛にもつながると説明されています。そして3つ目として、手口が巧妙化していく反社組織に対抗するには、継続的な対策改善が求められると述べられています。

これは反社勢力から不当な要求を受けた場合、企業は民事と刑事の法的対応を求められますが、そもそも暴力団と取引をしない姿勢を示し、取引を含めた一切の関係遮断することで企業は被害を免れられると説明されています。つまり、企業は企業や個人と関係を持つ前に反社勢力を判断することが大切であり、継続的な反社チェックは特に効果的な取り組みと言えます。

2-2. 各自治体の暴力団排除条例

政府指針は国内に向けて広く公表されたものですが、各自治体でも管轄区域に対して適用する独自の「暴力団排除条例(暴排条例)」を設けています。暴排条例とは、暴力団およびその影響力を排除することを目的とする各条例の総称です。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)」が、指定暴力団員の行為を規制する主旨の法律であるのに対して、暴排条例は一般市民が暴力団員との関係を持つことの防止を旨とします。

暴排条例は各自治体によって施行されているため、規制内容は自治体ごとに異なります。例えば、「東京都暴力団排除条例」では暴力団などの規制対象者への利益供与を禁止すること、契約時は相手が暴力団に関係を持たない人物であることを確認し、暴排条項を設ける努力義務があると定められているのが特徴です。

この東京都暴排条例によると、利益供与をする際は相手が規制対象者でない、つまり反社でないことを事前に確認しなければなりません。また、契約を取り交す際は、契約の相手が後に暴力団関係者だと発覚した場合に契約を無催告で解除できる「暴排条項」を盛り込むことを強く推奨しています。

2-3. 金融庁の監督指針

2007年に政府としての指針が発表されたことを受けて、2008年3月に金融庁でも金融機関に対する監督指針を改正しました。この改正では、反社勢力による被害を防ぐための項目が設けられました。それに伴い、金融機関で反社勢力と関係を遮断する態勢整備の必要性も明記されました。

その後、メガバンクが反社勢力に対して提携ローンを提供しており、さらに内部調査で反社と認定した後も未然防止の仕組み作りを怠っていたと発覚した問題を受けて、2014年にも監督指針が改正されました

金融庁は金融機関を監督・指導する立場にあるため、金融庁の監督指針は金融機関の業務を対象としており、実務を念頭に置いた具体的な内容が定められています。監督指針は、3つの論点で構成されており、まず「反社との取引の未然防止」として暴排条項導入の徹底や事前審査の導入、反社データベースの強化などが盛り込まれました。次に中間管理の「事後チェックと内部管理」という項目には、事後的な反社チェック態勢を強化し、内部管理態勢を徹底することで反社会的勢力との取引を根絶する狙いがあります。そして、「反社との取引解消」では、取引相手が後から反社だと発覚した場合、警察や暴力追放運動推進センター、弁護士などとの連携や取引の解消の推進や、特定回収困難債権の買取制度の活用を促しています。

2014年の監督指針が、反社勢力に対して実施された提携ローンを発端とする一連の問題を契機に厳格化されていることから、企業が反社勢力とつながっていると見なされると、融資を受けられなくなる可能性や手形取引に制限がかかる可能性があります。取引先が反社勢力であることを知らなかったとしても関わっている事実を消すことはできないため、法務・コンプライアンス担当者は取引が発生する前に反社チェックを行い、これらの問題を未然に防ぐべきでしょう。

2-4. 企業のコンプライアンスと社会的責任

企業のコンプライアンスの姿勢は、社会的責任としてますます強く求められています。現代の企業は正確な会計処理や品質管理といった基本的事項はもちろんのこと、ブラックな労働環境の是正やパワハラ・セクハラといったハラスメント対策も当然のこととして要求されています。さらに、法的には規定がない場合でも、「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」という言葉にも代表されるように、環境への配慮や、社会貢献活動といった事業には直接関わりがない観点での社会的責任が求められています。

その中のひとつが反社勢力との関わりです。世間は企業に対してクリーンな経営を期待しており、なかでも暴力団との関りは非常にナーバスな問題として扱われています。そのため、反社会的組織とのつながりが発覚したり、あるいは疑惑が持ち上がったりすると、その企業は深刻な信用失墜に陥る可能性があります。もちろん、行政処分を受けることにもつながりかねません。暴力団排除は、社会からは企業の当然の責任として考えられている以上、反社チェックなど徹底した対策を講じておくことで、自己防衛になるという側面もあります。

2-5. 企業存続の危機

反社勢力との関わりが企業存続の危機につながるリスクもあります。仮に反社勢力との関わりを防げなかった場合、さまざまな影響が考えられますが、特に「顧客離れ」「取引先の撤退」「行政処分」という3つの重大な損失を被る可能性があります。

まず、顧客離れとは、反社との関りが発覚することによって、消費者からのイメージダウンにつながり、商品・サービスの販売が落ち込む現象です。近年の顧客は、価格や商品の質へのこだわりはもちろん、その商品が提供されるまでのストーリー性も大切にする傾向があります。

例えば、製造過程で環境汚染を防ぐ取り組みをしているか、あるいは原産地とはフェアトレードを実施しているかなども商品・サービスの購入に影響します。仮に意図したものではなかったとしても反社勢力との関わりがあると発覚すると重大な影響を受ける可能性があります。

同様の理由で、得意先や金融機関との取引停止や、契約/融資の解除、さらには賠償トラブルに発展することも考えられるでしょう。仮に自社がクリーンな事業を行っていたとしても、結びつきの強い企業が反社勢力との関係を持っていたと世間が知った場合、非難が自社にまで及ぶことは容易に想像できます。初めは1社の問題でも、それが派生して取引先との関係悪化を引き起こし、場合によっては取引先/金融機関から責任を追及されるケースもあり得ます。

そして、行政処分の可能性もあります。特定のメガバンクが過去に反社勢力に対して提携ローンを提供していた事例では、実際に金融庁から業務改善命令を下され、銀行は再発防止策を求められました。これらの観点からみても、それぞれが企業に与える影響は大きく、企業存続が危ぶまれる可能性は低くはありません。健全な企業活動を推進するためにも継続的な反社チェックは欠かすことができない取り組みであることがわかります。

3. 反社チェック方法の3パターン

反社チェックにはさまざまな方法があり、大まかには自社で行う、専門業者に依頼する、公的機関に照会するといった3つのパターンがあります。また、チェックのレベルも一般的に行われる形式的なスクリーニングと、疑わしい、あるいは要注意の場合に行われる詳細な調査に分けられます。具体的にどのような手法を使うのかは企業によってさまざまで、各社が試行錯誤をする必要があるでしょう。ここでは参考として主要な3つのパターンを解説します。

3-1. 自社で実施する方法

自社で行う調査では、インターネットや新聞記事、公知情報を活用する方法があります。いずれも、特別な知識や経路を必要としないため、業者のサービスを利用する前段階の調査として行われます。
まず、インターネットでは、検索エンジンを利用して取引先や本人について検索します。検索の際にグレーなキーワードを含めれば、反社勢力と関連する情報を選択的に収集することができます。代表的なものとして、容疑、処分、訴訟、送検、逮捕などが挙げられます。ただし、情報の正確性に気をつける必要があります。新聞社サイトや官報のような信頼性があるメディアと、個人ブログやSNSなど誰でも投稿可能なメディアが同一の検索結果に現れることがありますが、なるべく一次情報を取得し、エビデンスの有無も意識しましょう。
新聞記事を活用した調査では、「日経テレコン」のようにデータベース化された記事を検索できるサービスもあるほか、新聞社サイト内で検索する方法が手軽で効率的です。自社で実施した調査によって懸念事項が発見された場合は、より確度の高い業者の調査サービスの利用を検討します。

3-2. 業者のサービスを利用する方法

素性の調査や信用調査を手がけている業者のサービスを利用するのも効果的です。
自社チェックで懸念事項が発見された場合や情報を精査しきれない場合、そもそも調査の専門知識も人員もいない場合などに活用されています。サービスの種類としては、取引人物や取引企業が反社勢力に関わっていないかどうかを調査し、調査報告書として納品されるというパターンが一般的です。

具体的な利用シーンとしては、新規取引先についてその企業や幹部の人物に反社的な関わりがないと判断できる根拠や証拠が欲しい、M&A候補の関係先で同様のチェックをしたい、入居予定のテナントを精査したい、といったケースが挙げられます。インターネット・SNS調査のほか、登記簿の確認や、現地調査など、あらゆる手段を使って情報収集をしてくれるので、情報の精度が高いのが特徴です。

3-3. 行政機関へ相談や照会する方法

より差し迫った状況で、反社チェックや何らかの対応が必要になった場合は、行政機関への相談や情報照会をすることも大切です。例えば、既存の取引相手が暴力団関係者だと発覚した場合や、不審人物・クレーマーに反社の疑いがある場合は、すぐに相談するようにしましょう。

各都道府県には、暴力追放運動推進センター(暴追センター)が設けられており、暴力団に関する相談を受け付けています。そこでは弁護士、警察OBといった専門知識や経験がある相談員が的確なアドバイスをしたり、ときには警察と連携して対応に当たったりすることもあります。電話やメールでの受け付けも可能なので、不安に感じた際は早めに活用しましょう。

4. 反社チェックに必要な調査費用

反社チェック自社で反社チェックを実施する場合、基本的には従業員の人件費(有料コンテンツ利用の場合その費用も)がかかります。仮にインターネットを使った簡単な調査で、反社との関係が疑われないケースであれば数時間で終わる可能性があります。しかし、取引先の精微な調査となると、その会社の登記や、各種許認可の真否、また役員や関連会社など多岐にわたる項目の調査が必要で、数日〜数週間かかるケースもあり、その分の人件費が発生することになります。

調査業者のサービスを利用した場合、個人の反社チェックでは1万円〜、企業のチェックでは3万円〜が目安です。もちろん、データ調査だけのプランに比べて、内偵調査を兼ねるプランは費用が高くなり数十万円を超えることもある点には注意が必要です。調査期間は早ければ3日程度で終わるケースもありますが、企業が対象の場合には数週間かかるケースもあります。専門の調査業者は何に注意すべきなのかを明確に把握しており、調査方法も洗練されているため、自社で調査するケースに比べて正確かつスムーズでしょう。

5. まとめ

今や反社チェックは企業にとって欠かせないものとなりつつあり、各企業はただ実施するだけでなく、正確に情報収集をする必要があります。調査会社を活用すれば費用は発生しますが、調査に慣れない自社従業員を稼働させるよりも正確な情報を迅速に得られるでしょう。新しい取引、重要な取引を行う際は、費用対効果も鑑みつつ、万が一に備えて、欠かさず反社チェックをして会社や関係者を反社会的勢力のリスクから守りましょう。

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などの際は相手企業の精査や反社チェックが欠かせません。

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