コロナ自粛を偽り丸儲け!フランチャイズ本部を欺いた加盟店の「功名手口」

フランチャイズスクール

緊急事態宣言前後から全国で密閉・密集・密室の「3密」となりやすい業態が時短営業をしたり、営業自粛の措置を取ったりしているのは周知の通りです。トクチョーに寄せられる調査の相談も、今までにはない種類のものが増えています。

今回の案件は、新型コロナウイルス感染防止のために一部の営業を自粛したはずのフランチャイズ(FC)加盟店が、FC本部を騙して納めるべきロイヤリティを逃れていた事例です。

▪ 体験入学は自粛のはずが……とあるスクールでは、なぜ新規生の数が異様に多いのか

子ども向けプログラミングスクールKを全国にフランチャイズ展開しているA社のB事業部長は、経営会議でスクールKのL駅西口校における異変を報告しました。
L駅西口校は、東京の本部からかなり離れた地方都市L市でオーナーのX氏が経営しています。報告された異変とは、L駅西口校の3月度新規生の入校が他校と比べて異常に多いことでした。

プログラミングスクールに限らず、学習塾など子ども向けのスクールは、小・中・高等学校の卒業・入学の時期である3月、4月に新しく習い事を始める絶好の機会として、集客に最も力を入れています。 

しかし、この3月は新型コロナウイルス感染防止のため、3月からスタートする春の体験入学が教室内で「3密」を発生させてしまうことを考慮し、FC各校の判断に任せ、集客で最も重要な「春の体験入学」キャンペーンの自粛を認めていました。その一方で、オンラインによる体験入学の体制は整わず、集客は困難を極めました。

他校と同様に、L駅西口校も春の体験入学を自粛したはずなのに、フタを開けてみると他校と比べて5倍以上も新規生を獲得しているのです。経営会議でA社の社長から「何が起きているのかよく調べるように」と指示を受けたB事業部長から、トクチョーにご相談をいただきました。

▪ フランチャイズ校が本部に黙って体験入学キャンペーン続行か

B事業部長 ……というわけで、本部としてはXさんのL駅西口校が『春の体験入学』キャンペーンを自粛せずに、本当はやっているのではないかと睨んでいます。
本部から出張して現地調査をするのが一番なのですが、コロナ対応で会社として出張も禁止されているため、どうしたものかと……

トクチョー チラシなど他の集客方法に力を入れているとか、評判が良くてクチコミで広がっているという可能性はないですか?

B事業部長 体験入学キャンペーンができない分、各校ともに例年の何倍ものチラシは打ってみたんです。チラシは本部でまとめて発注していますから、各校で差がないことは把握しています。クチコミで広がった場合、『友だち紹介特典』の適用がありますから、これも本部に報告がきます。その数も大差ありませんでした。

それでもXさんのところだけ、圧倒的に新規生が多いんです。まぁ、生徒が増えるのは喜ばしいことではあるんですが……。

トクチョー ロイヤリティの問題でしょうか?

B事業部長 そうです。スクールKの『春の体験入学』は全4回の授業をかなりしっかり行うため、完全無料ではありません。体験入学費用は、生徒さんからA社の口座に振り込んでもらい、そのうちロイヤリティの50%を引いた額を各校に支払うという仕組みです。

トクチョー もし本部に報告せずに体験入学を実施しているとすると、ロイヤリティ逃れとなってしまうわけですね。それでは、L駅西口校が『春の体験入学』を行っているかどうか、インターネット調査、現地調査の両面から調べていきましょう。

▪ 調査で判明した仰天事実  本部の知らない2校目の存在

はじめに行ったインターネット調査の結果から、驚きの事実が判明しました。

「スクールK L市」や「スクールK L駅」で検索しても、通常のA社指定フォーマットによるL駅西口校のホームページがヒットするだけで、ホームページには「春の体験入学」については記載がありません。

ところが、「プログラミングスクール L市」や「プログラミング 子ども L市」で検索するとグーグルでもヤフー検索でも、検索結果の1番上の広告枠に「この春、最新のプログラミング教育をお子さまに! L駅西口校・L市本町校 春の体験入学実施中!スクールK」との表示が出たのです。

リンク先をクリックすると、ホームページとは別のランディングページ(サービスや商品を購入・問い合わせさせるための1ページで完結した縦に長いページ)が開き、そこには、スクールKのL駅西口校、そしてL市本町校の特徴、実績、今年の「春の体験入学」について、大々的に記載されていました。

スクールK本部公式の教室一覧ページに、L市本町校は存在しません。春の体験入学を本部に黙って実施していたことはもちろん、あろうことかX氏はスクールKに黙って2校目を開校していたのです。

さらに調査員は、両校への覆面調査による電話問い合わせと教室説明会への参加により、X氏運営の2校では「春の体験入学」で例年並みの1校あたり数十名の申込みを受けていること、しかもFC規定の全4回の体験授業を2回に縮小して実施していることも突き止めました。

もちろん、体験入学費用の振込先はX氏の個人口座となっていました。

スクールKの教材はすべてデジタル教材であったため、簡単に複製できます。のぼりや販促品の発注が1校にしては多いと感じていたものの、A社はL市本町校というX氏運営の2校目の存在に気づくことができなかったそうです。

▪ 本部が気づかなかったネット集客の巧妙な手口

B事業部長 今回の調査、わずか1週間足らずであっさりと証拠を掴んでいただき、ありがとうございました。

トクチョー 現地では『春の体験入学キャンペーン実施中』というのぼりが数多く立てられていました。教室は説明会と体験入学の生徒さんが来るときだけ、開けていたようです。

B事業部長 それにしても、どうしてXさんは春の体験入学キャンペーンだけでなく、2校目の存在まで本部に隠し通せたのでしょうか。私も含めて弊社の何人かが、春の体験入学キャンペーンをやっていないか疑って、『L市 スクールK』で検索をしてみましたが、FC指定フォーマットのホームページしか見つけることができませんでした。でも実際は調査レポートにもあるように、ランディングページが存在したというのはどういうことでしょう。

トクチョー 実は、問題のランディングページはホームページとは別のドメインで独立して運用されており、相互にリンクもありませんでした。さらに「no index」というタグが付けられ、検索結果に表示されないようになっていたのです。

B事業部長 ただ、それでは誰にも見つけてもらえなくなってしまうのでは?

トクチョー どうやらX氏は、ランディングページを自然検索によって露出するのではなく、リスティング広告(指定キーワードの検索結果の上部に表示される広告)だけで集客していたようです。

しかもそのキーワードは「プログラミングスクール L市」や「プログラミング 子ども L市」といった「スクールK」が入らない複合キーワードでリスティング広告を打っていました。これによりX氏は、本部の方が検索するであろう「L市 スクールK」では、リスティング広告のランディングページは見つからないと踏んでいたのではないかと思われます。

▪ クリックしない限りフランチャイズ名はわからない

B事業部長 確かにこちらは、毎回自社のスクール名を入れて検索していたかもしれません。でも、何人かでやれば「プログラミングスクール L市」でも検索して広告を見つけられる可能性もありましたよね?

トクチョー 広告を見ても、検索結果に表示されるのはページタイトルの28文字目までです。これはスマホもPC画面も一緒で、29文字目以降は「……」と略されてしまいます。

 今回X氏が使っていたランディングページのタイトルは、「この春、最新のプログラミング教育をお子さまに!L駅西口校・L市本町校で春の体験入学実施中!スクールK」でした。「~L駅西口校」までが28文字なのです。つまり、29文字目以降の「L市本町校で春の体験入学実施中!スクールK」は省略されてしまうのです。

B事業部長 万一、検索結果で問題のリスティング広告が目に入っても、クリックしなければ「L市本町校」も「春の体験入学」も目につかないということですか!

▪ コロナ自粛で募る企業の「疑念」  時代が変われば調査も変わる

その後A社は一連の事態をX氏の出来心であったことと許して、過去に遡って2校目の生徒の授業料と体験入学のロイヤリティを支払うことで、スクールKを継続させるつもりであるとのことです。

過去にもフランチャイズ展開をするお客様から、フランチャイジーの接客や様子を第三者の目で見てきてほしいという覆面調査の依頼はありました。緊急事態宣言以降は、地方の営業所や店舗がきちんと自粛しているのか、また社員が誰も出勤しない店舗やオフィスの様子がどうなっているかを確認したいというご相談を受けるようになりました。

また、本当に自宅で在宅勤務しているのか、無断で帰省しているのではないかといった確認、なかには在宅勤務になって全く連絡が取れなくなった従業員の様子を見てきてほしいという「従業員家庭訪問」のようなニーズも出てきています。

働き方改革、オリンピック対応、そして緊急事態宣言……「時代が変われば調査も変わる」を実感する事例でありました。

※この記事は事実を基にしていますが、登場する人物・団体・名称などは架空のものであり、実在のものとは関係ありません。守秘義務のため、依頼者や調査対象者が特定できないように、事件の詳細は設定を変更しています。

※本記事は、トクチョーがダイヤモンド・オンライン「調査員は見た!不正の現場」シリーズに寄稿したものです。

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