【保存版】企業のリスクマネジメントに活きる実践的な外部調査とは

リスクヘッジ

近年、日本企業のリスクマネジメントはどうなっているのかと不安に思う事件が多くみられます。銀行の不適切融資に関するニュースや、大手不動産会社が大きな被害を受けた地面師事件、アイドルグループの一連の事件も例外ではありません。これらの不正や事件、コンプライアンス問題などに対して、世間やマスコミの目は非常に厳しくなってきています。

そこで、本稿ではこうしたリスクを未然に回避したり、低減したりするための「外部調査」について紹介します。

1.   リスクマネジメントの実践的な外部調査とは

一口にリスクマネジメントと言っても具体的に認識されている方は少ないのかもしれません。ここでは、簡単なリスクマネジメントの説明と、外部調査の必要性、外部調査でカバーできる分野をみていきましょう。

1-1. リスクマネジメントとは

一概にリスクマネジメントと言っても様々な定義があります。

日本工業規格の一つであるJISQ31000(2019)によれば「リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動」とされ、具体的には、統合・設計・実施・評価・改善の枠組みがあると言われています。
また中小企業庁には「リスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避、又は低減を図るプロセス」との記述があります。
本稿はこれらリスクマネジメントにおける「実践的な外部調査」に重きを置き、リスクマネジメントそのものについてのより詳細な情報はこちらの記事に書いています。

1-2. 外部調査の必要性とメリット

リスクマネジメントのプロセスでは、外部調査が大いに役立つケースがあります。

外部調査とは弊社のような調査会社を使った調査ですが、社外に存在するリスクに対しては、社内調査だけでは知りえなかった情報が手に入ります。また、不正など社内のリスクにおいては、安易に自社社員に調査にあたらせると、社内の人間関係に問題が生じたり、逆恨みなどから傷害事件などに発展したりするケースもあり、こうした二次的なリスクを避けるためにも状況に応じて、適切な外部調査を行う必要があります。

その他にも適切な調査会社を選べば、
・調査のプロとしての調査の視点の多様性、
・幅や深み、スピードなど面での情報収集力、
・多様な手法の中から最適なものを選んでの分析力、
・整理されたレポーティングなどの伝達力、
といったものを「買う」ことができ、結果的には費用対効果に優れるなどのメリットがあります。

1-3. 外部調査でカバーできる分野

リスクに対する外部調査では、複雑多岐にわたる様々な分野がありますが、一般的に企業のリスクマネジメントでは、大きく3つの分野に大別されます。

ひとつ目は、自社の中に存在する労務管理上のリスク。ふたつ目は、通常の商取引から業務委託、下請け業者など、社外に存在する取引上のリスク。最後は、新規事業や投資・M&Aの案件に存在する事業リスクです。

これらのリスクについて、次項以降、詳しくみていくことにします。

2.   労務リスク対策としての調査

それでは、いよいよ実践的な外部調査について具体的に紹介していきます。

まずは、社内に潜む労務管理上のリスク対策です。働き方改革など労務管理は企業の大きな課題となっていますので、これに対しては以下の様な調査が有効です。

2-1.採用調査による問題社員の採用回避

「人材は宝なり」とはよく言われる言葉ですが、その言葉のとおり、ほとんどの人は宝そのものか宝の原石だと思います。しかし、残念ながらまれにですが、そうではない人もいます。
そうした人物をノーチェックで採用してしまうと大きなリスクとなることがあります。士気の低下や風紀の乱れなどから始まり、たった一人の社員によって企業が消滅してしまった例さえもあります。
こうしたリスクを回避するための外部調査として、採用候補者の履歴や人物像の確認のためのプロによる採用調査が有効です。

2-2.内部不正の実態解明や証拠集めの調査(操作ログ監視/フォレンジック)

万が一、横領などの内部不正が疑われる事態となってしまった場合、その実態の解明、証拠の発見のためにフォレンジック調査やPCの操作ログ監視が有効です。
フォレンジック調査とは、デジタル鑑識とも呼ばれ、PCデータの復元・解析することを言い、その使用履歴や残されたデータから不正の証拠を探るものです。また、PCの操作ログ監視は、システム導入以降のPCの使用状況を監視するもので、電源のON/OFFから始まり各操作のログを収集・分析することで証拠を発見するものです。さらに、捜査ログ監視システムの導入では、不正の予防効果や情報セキュリティを強化する効果も期待できます。

2-3.職場問題の早期発見やリスク低減のための調査(ES調査/内部通報窓口)

職場問題や労務リスクは、発見が遅れるほど問題が拡大し、被害も大きくなる傾向にあります。結果、事後処理にかかる人的、金銭的リソースも多大なものになってしまいます。
つまり早期発見が重要になるのですが、この問題にはES(社員満足度)調査内部通報窓口の設置が大いに役立ちます。

これらを内製化している企業もありますが、課題として、例えば自社で行うES調査では、ノウハウの不足や固定観念などから、調査項目が適切でない、結果を有効に活用できていないなどがあるようです。また、内部通報窓口では多くの場合、社内の人間に対して通報することへの警戒感などから、窓口を設置しているものの有効に機能していないことが課題のようです。
これらの課題を解決するために外部に委託することも有効な手段となります。

 2-4.証拠現場を押さえるための調査(行動監視調査)

昔ながらの調査に行動監視調査というものがあります。いわゆる尾行や張り込みと言われるものです。
社内の人物が不正に絡み、社外で不審な行動をしているなどの場合、その証拠現場を押さえるための調査です。
また、社内の問題だけでなく、債権回収で給与差し押さえのため、勤務先を特定する際や、不正転売の実態解明のために店舗を張り込むような場面でも行動監視調査が実績をあげています。

3.   取引上のリスクの回避・低減のための調査

続いて、社外に潜む取引上のリスクについてみていきます。これらのリスクは複雑多岐にわたります。単に自社の取引先だけではなく、その関連企業や、取引はなくとも人間関係にもリスクが及ぶ場合もあるのでご注意ください。

3-1.倒産リスク等の回避・低減のための調査(信用調査)

リスクマネジメントの一環として、取引先の思わぬ倒産などのリスクを避けるため財務的な信用調査を実施することが一般的になってきました。
信用調査の日々のルーティンとしては、大手の信用調査会社が提供する情報を取得して確認する程度でよいかと思います。しかしながら、情報量が少ない、不審・不明な点があるなどの懸念点がある取引先の場合は、放置せず、より詳細な外部調査が必要かと思います。
一般的な信用調査で機械的に点数だけをみるのではなく、総合的なリスクの把握、検討が必要です。

3-2.レピュテーションリスク等トラブル回避のための企業や人物の調査

昨今、ネットでの炎上騒ぎや、マスコミに取りざたされてしまうなどのレピュテーションリスクが急速に高まっています。
こうしたリスクを避けるためにも、取引先や関係会社社内外の人物について懸念があれば調査を実施する必要があります。
例えば、取引先等では、コンプライアンスに違反するような事業展開をしていないか、人物であれば、過去に不祥事を起こした企業の要職者でなかったかなど、ネガティブ・トラブルに関する調査をした方がよいでしょう。

3-3.反社リスクに関する調査

企業・人物が反社会的勢力そのものではないか、あるいは反社会的勢力と密接なつながりがないかを確認する反社リスク調査も重要な項目となります。
単に反社会的勢力と言っても暴力団関連だけではなく、社会運動標榜ゴロや、最近では半グレ集団などにも注意が必要です。
これらは単にレピュテーションリスクだけではなく、取引の拒絶や銀行から融資を引き上げられてしまうなど大きな事業リスクにも発展してしまいます。
こうしたリスクを避けるために外部の調査会社を利用した詳細な調査が必要です。

4.   事業リスクに対応した調査

最後は経営判断等、事業リスクに対応した調査のご紹介です。かつては経営者の勘やセンスで事業のかじ取りをして成功を収められるケースが少なくありませんでした。
しかしながら昨今は、事業環境の流動化、複雑化が著しく、事業リスクを回避、低減するためには、信頼できる確かな情報をもっていることが重要です。

4-1.経営判断のための調査(市場調査/競合分析)

事業の拡大や新規事業への進出、撤退など、経営判断には大きなリスクがつきものです。
リスクを避けてばかりいては事業の拡大は望めませんが、無謀なリスクテイクをしていては、事業が暗礁に乗り上げてしまいます。より良い経営判断のためには、市場調査競合分析をしっかり行うことが重要です。
その際、社内調査だけでは、プロジェクトを進めなくてはならないなどのバイアスがかかってしまいますので、客観的な目で見る外部調査の活用が有効です。

4-2.投資・M&A等での各種デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、投資やM&Aの対象となる企業等の価値やリスクなどを調査することです。M&A等での失敗事例ではデューデリジェンスに問題があるケースがあります。
そもそもデューデリジェンスが十分に行われていないケースもありますが、上記同様、主観的な要素で誤った判断をしてしまうケースもあり、やはり外部の調査会社による客観的な調査が必要となります。

4-3.自社・製品等の評判や風評の把握

レピュテーションリスクの代表格に「ネット炎上」があります。自社や自社製品について、ネット上の評判や風評を定期的にチェックすることで、炎上騒ぎを未然に防ぐことができます。
また、自社製品等の評判を知ることで、商品の改善や開発に役立てることもできます。自社でもキーボードを叩けば、ある程度の情報は収集できますが、多くの時間と労力がかかります。
さらに、担当者によって情報の質に偏りが出てしまい、重要な情報を見落とすことになりかねません。費用はかかってしまいますが、やはり外部の調査会社に任せることをお勧めします。

5.   まとめ

本稿は「企業のリスクマネジメントに活きる実践的な外部調査」というテーマで進めてきました。事案に合わせての有効な調査をイメージしていただけたものと思います。
しかし、一番重要なことは企業自身がリスクマネジメントへの意識を高め、いかにしてその体制を整えるかです。
外部から企業を見ていても、どういったリスクが潜在的、顕在的に存在しているかはなかなかわからないものです。リスクマネジメントの警報装置は企業自身でセットしていかなければならないものです。
リスクマネジメントのアンテナを高くし、懸念があればリスクを回避するために、或いは低減するために、状況に応じて外部調査を有効活用することをお勧めします。

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