人材不足解消に!採用活動へのマーケティング手法導入の基礎を解説

マーケティングは営業部のもの、人事部には関係ない!

このように、人材採用とマーケティングがうまく頭の中で結びついていない人も多いのではないでしょうか。

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を人材採用に取り入れて、さまざまなアプローチを行う取組みです。しかし、今までマーケティングをやったことがない人事部の担当者にとっては、どのような考え方をどのように取り入れればよいか、わからないことも多いと思います。

この記事では、採用マーケティングを実践して効率的な採用活動を実現するための考え方やフレームワークを紹介します!

1. 採用マーケティングが重視される背景

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を人材採用に取り入れて、さまざまなアプローチを行う取組みです。なぜ、そのような取組が重視されてきているのでしょうか。

1-1. 売り手市場~採用市場の競争激化~

少子高齢化の影響から、労働人口の減少が指摘されています。2019年現在、採用市場は売り手市場と言われています。母集団が少なくなるわけですから、競争が激化するのは当然と言えます。特に、その影響は中小企業にとって深刻なものになっています。

※厚生労働省の報告では、人手不足感の高まりは特に中小企業で顕著で、その理由は「新規の人材獲得が困難になっている」がトップです。

令和元年版 労働経済の分析より)

市場が変化している時に、従来の方法をそのまま行っていても、人材が採用できる可能性は低くなるだけです。市場の変化に合わせ、方法も変化させることが重要です。
最近では中途採用だけでなく、新卒採用でも一括採用の限界と言われる中でスカウト型が導入されたり、各社の取組みが活発になっているようです。

1-2. 採用手法の多様化

採用の手法は多様化してきています。SNS等を利用した「攻めの採用」と言われるダイレクトリクルーティング、紹介や推薦による採用活動であるリファーラルリクルーティングなど、従来の新卒一括採用を中心とした採用活動では見られなかった手法が出てきています。他にも、インターンシップの積極的な利活用、4月入社に限定しない通年採用外国人の採用など、新卒・中途ともに多様化が見られています。

同時に、求職者の意識にも変化が見られます。新しい働き方や、新しいキャリアを志向する求職者には、新しいアプローチが必要だ、と言う事もできます。

1-3. 採用マーケティングを導入するメリット

最も大きなメリットは、採用に関わるコストが抑えられる事です。
そしてさらに、効率的な採用という効果が、長期的に持続します。

例えば、ダイレクトリクルーティングは採用マーケティングの効果的な施策としてもあげられています。求職者に直接アプローチする手法ですので、求人媒体や人材紹介会社を利用する従来の方法よりもコストを抑えることが可能です。また、今すぐに就職・転職を考えていない潜在的な層にもアプローチできる、優秀な人材を採用できる可能性が高くなる、離職率が低くなる、などがメリットとしてあげられます。

2. 採用マーケティングの全体像

採用マーケティングでは多くの場合、入社するまでのプロセスを以下のようなファネル(漏斗)で説明されます。

左図は、マーケティングにおける、商品の購買に至るまでの
プロセスを示したものです。採用マーケティングに当てはめる
ときには、使いやすいように工夫されることが多いですが、
ここでは、全体像を掴むためにそのまま当てはめてみたいと
思います。

 

  • ① 認知
    知らない商品は購入しない、という事です。採用マーケティングでは、会社の存在を知らなければ、応募する事はあり得ない、ということになります。
    会社名や事業内容を広く知ってもらうことは、今すぐではないかもしれませんが、潜在的な人材の母集団を増加させることになります。
    この段階で必要なことは、もちろん会社の認知度を向上させることです。さらに、興味・関心を持ってもらえるように、情報発信の方法を工夫することが大切です。メディアへの露出やイベント開催、企業そのものを宣伝する活動が考えられます。
    学生と社会人になってからでは、知っている会社の数も変わってきますし、どのような媒体を通じて認知するか、という点も変わってきます。そこで、活動をする前には、誰に広く知ってもらいたいか、という視点も検討しておくことが非常に大切です。(ターゲット:後述します)

1990年頃、住友金属工業が、企業の認知度向上のために、タレントの山瀬まみさんを起用したTVCMを作成し、話題になりました。今では、特定の商品を宣伝しない企業イメージのCMは珍しくありません。しかし、TVCMのようにマスメディアを利用した宣伝は、インパクトは大きいもののコストがかかる、興味・関心にまで至りにくいという課題があるなど、全ての企業が行える施策ではありません。

  • ② 興味・関心
    会社に興味・関心を持ってもらうと、求職者はホームページや採用ページなどにきて、情報を集める行動を起こします。就職先・転職先としての情報を集めますので、この段階で必要なことは、職場としての魅力や働きがい、という情報を適切に発信することです。
    これも、学生と社会人では知りたい内容は異なるでしょう。学生であれば、先輩社員の日常や思い等に関心があるでしょうし、社会人であれば業務内容・範囲という点かもしれません。
    どのような魅力をアピールするか、如何にわかりやすく伝えるか、という点が重要です。
    求職者の次の行動は、応募となります。
  • ③ 比較・検討
    応募する段階では、複数の候補から比較・検討して応募する会社を決めています。まずは、この段階で他社よりも優位に立つ(応募されやすくする)必要があります。
    また、実際に応募した人であっても、複数の会社に応募しているのが普通です。採用に至るまでの段階でも、複数の候補の中から選んでもらうために、他社よりも魅力的に思ってもらう必要があります。
    現場の社員と話す機会をもうけるなど、表面的ではない情報提供を工夫したり、選考過程を見直すなどが考えられます。

  • ④ 購入
    採用候補者が、内定を承諾して入社となります。つまり、最終プロセスは「内定の承諾」となります。新卒内定者に対する食事会やイベントなどはよく見られます。候補者の不安や迷いを払しょくするようなコミュニケーションが大切です。

学生の就職に関する意識は、各社が調査を行っています。上記の情報発信をする際に参考になるので、確認しておく方がよいでしょう。
例:2020年卒マイナビ大学生就職意識調査

3. 採用マーケティングに役立つ考え方・フレームワーク

採用マーケティングで使われるファネルは、マーケティングでは購買に至るまでのプロセスを図示した、購買行動モデルと呼ばれるものの一種です。
他にも、採用マーケティングに役立つ考え方・フレームワークをご紹介します。

3-1.購買行動モデル

マーケティングでは、購買行動モデルは常に改良が加えられ発展してきました。最も有名なモデルはAIDMA(アイドマ)です。

AIDMAは、
Attention 認知 商品の存在を知っている
Interest 興味 その商品に興味を持っている
Desire 欲求 その商品を欲しいと思う
Memory 記憶 その商品を覚えている
Action 購買行動 実際に購入する

インターネットが普及してくると、AISASというモデルが考案され、広く利用されました。
Attention 認知 商品の存在を知っている
Interest 興味 その商品に興味を持っている
Search 検索 商品の情報を検索する
Action 購買行動 実際に購入する
Share 共有 購買後にネット上で共有する

さらに、ソーシャルメディアが発展してくると、AISASの「Share」の部分の重要性が増してくると共に、「Attention」における認知向上策としてのマスメディアを利用した宣伝広告手法に限界がみられるようになり、新しいモデルとして「SIPS」「DECAX」などが考案されています。

◆SIPS とは 
Sympathize(共感する) Identify(確認する) Participate(参加する) Share&Spread(共有・拡散する)

◆DECAX とは
Discovery(発見) Engage(関係構築) Check(確認) Action(行動) eXperience(体験と共有)

採用マーケティングにおいても、認知段階の情報発信方法を、より時代に合わせて変化させるなどの工夫は必要です。また、シェアの部分を、今まで以上に重要視しなければなりません。

求職者は、情報収集を行う時に会社から発信された情報だけに頼っていません。口コミサイトや、SNSなどからも情報を得ています。会社としてどんなに魅力的な情報を発信しても、ネット上に悪い評判がある場合には、応募者が増えることはないでしょう。

3-2.STP

STPとは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取ったものです。

セグメンテーション
市場細分化という意味です。簡単に言えば、性別や年齢で消費者を細分化して考える、という事です。(実際には、性別や年齢以外にもさまざまな分け方があります。)
求職者では、新卒・中途の2つが一番大きなセグメントと言えます。新卒の中でも、学歴(4大卒・大学院卒など)や学部(文系・理系)、第2新卒など、細分化ができます。同様に、中途であっても、様々に細分化できます。

ターゲティング
どのセグメントをターゲットとするか、決めることです。
例えば、同じ化粧品というジャンルでも、若年層向け、高年齢層向けの商品は異なりますし、男性向け・女性向けの商品も異なります。その商品のターゲットを決めることは、販売促進活動を効率的にするためにも重要です。
採用マーケティングにおいては、自社が必要とする人材、欲しい・求める人材を明確に定義してターゲティングすることは、効率的な採用活動のために非常に重要です。
例えば、「〇〇のスキルを持っている人材」というターゲティングをします。その際、「〇〇のスキル」をなるべく詳細に詰めておくと、ミスマッチが防げます。但し、あまりに詳細にしてしまうと、そもそも人材が存在しない、という事にもなりかねませんので、入社後の育成の可能性も含めて検討し、設定することが大切です。

ポジショニング
競合商品との中で、自社商品の立ち位置を決め、競合商品と差別化する
ために行います。比較のための分析軸を2つ用意し、マッピングする手法が
よく見られます。

採用マーケティングでは、同じ業界に属する企業や、求める人材像が同じ
企業
「競合企業」となります。それらの中で、自社をどのようにポジ
ションニングするかによって、アピールする内容が変わってきます。
例えば、残業が少ないことが差別化できるポイントの場合は、残業の少ない
ことを前面に出した情報発信をする、という事になります。

3-3.カスタマージャーニー

顧客がどのように商品を認知し、興味・関心を持ち、購入に至るのか、というプロセスの、行動や心理を時系列に沿って整理し、旅に例えて可視化したものです。

「3-1.購買行動モデル」は、消費者全体をモデル化していましたが、カスタマージャーニーでは、特定の顧客(ペルソナと呼びます)を設定しそのプロセスを可視化します。

カスタマージャーニーの作成には、ツールや調査から得られたデータを利用しますので、複数のカスタマージャーニーを作成するのはコストがかかり、非効率的です。そこで大切になるのは、ターゲティングです。ターゲティングが明確であれば、ターゲットに対してのみ、カスタマージャーニーを作成すればよくなりますので、コストも大きくならず効率的になります。

採用マーケティングにおいても、応募や内定承諾に至る一連のプロセスを可視化することは、求職者をより深く理解することになるので有益です。
また、可視化することによって、複雑なデータを直感的に理解できるようになります。施策の立案がしやすくなる効果の他にも、社内での共有・理解促進が容易になる、といった効果も考えられます。

3-4.ブランディング

ブランディングとは、ブランドの価値を高めて消費者から選ばれるようにするための活動です。それだけで独立した考え方とも言えますが、マーケティングの一部としてとらえることもあります。(ここでは、マーケティングの一部として考えます。)

採用マーケティングにおいては、特定の商品ではなく会社そのものをブランドとして位置づけ、価値を向上させていくことになります。会社としてのブランド価値の向上は、採用以外にも資金調達や従業員のモチベーションなどにおいて、効果が期待できます。

採用ブランディングという言葉もあり、採用マーケティングと同じように使われています。具体的にやるべきことは、あまり大きく変わらないと考えても差し支えありません。
会社そのもののブランディングは、採用担当部署のみで完結するものでもないため、この記事では詳しく解説しませんが、非常に重要な考え方です。

4. まとめ

マーケティングは市場の変化に応じて変化し続け、常に最新の理論が提唱されています。採用という分野に、どのように取り入れればよいのか、迷ってしまう事もあると思います。

しかし、一方的に宣伝するだけでは商品が売れないように、採用情報や会社情報をただ提供しているだけでは効率的な採用にはつながりません。求職者を顧客としてとらえ、顧客に商品を売るように、自社をマーケティングすることが、これからの採用活動には大切です。

採用マーケティングを積極的に取り入れて、効率的な採用活動の実現を目指して下さい。

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